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小泉 徳潔; 布谷 嘉彦
FSST News, (143), p.6 - 10, 2014/10
未踏科学技術協会超伝導科学技術研究会の依頼により、日本におけるITER超伝導マグネットの開発、製作の進捗について解説する。日本では、導体製作に関しては、担当する33本のTF導体の製作を完了し、CS導体の製作に着手した。CS導体の開発では、繰り返し通電による性能劣化が観測されたが、素線の座屈曲げが原因であることを解明し、撚線の撚ピッチを短くすることで問題を解決し、実機製作を開始させた。また、TFコイルの調達では、(1)0.01%の高精度の巻線技術の開発、(2)0.02%の高精度での熱処理による導体の伸縮量の予測技術、(3)高精度ラジアル・プレート製作技術の開発等を通して、TFコイル巻線製作上の技術課題を解決するとともに、実機巻線製作用治具の検証試験も進め、実機TFコイル巻線の製作に目途を立てた。これらの成果をもとに、実機TFコイルの製作に着手している。
土屋 勝彦; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; et al.
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1599 - 1605, 2006/02
被引用回数:1 パーセンタイル:9.98(Nuclear Science & Technology)JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)は、経済的な核融合炉の実現を目指した定常高ベータプラズマ運転の実証が重要なミッションの一つである。現在、プラズマ形状及びアスペクト比について広いパラメータ領域で研究を行えるように、装置の物理的・技術的設計検討を進めている。本装置の目標とする高ベータプラズマは、自由境界MHD安定性限界を超えた領域にあるため、電子サイクロトロン加熱による新古典テアリングモードの抑制に加えて、安定化板及び容器内コイルを用いた壁不安定性モードの抑制など、さまざまなMHD不安定性の制御手法を駆使する必要がある。それらを踏まえて、今回は、高ベータと臨界条件クラスのプラズマを同時に達成できるプラズマパラメータの解析評価、及び自由境界MHD安定性限界を超えた高ベータプラズマの非誘導電流駆動制御シナリオの検討結果について報告する。また、広いパラメータ領域で定常高ベータプラズマ運転を実現させるための装置設計の現状に関して、超伝導コイル及び放射線遮へい材を中心に報告する。
山内 通則*; 西谷 健夫; 西尾 敏
プラズマ・核融合学会誌, 80(11), p.952 - 954, 2004/11
低アスペクト比を目指すトカマク炉では、トーラス内側構造を極力小さくする必要がある一方、トーラス外側構造の割合が大きくなる。そこで比較的大きな領域を要するトリチウムの増殖は主としてトーラス外側で行い、トーラス内側では超伝導コイルの遮蔽を主目的とする設計が合理的となる。最適な内側遮蔽構造は、材料にW及びVHを使用すれば、真空容器とコイルケースを除いた遮蔽体厚さを5758cm程度にできる可能性がある。ただし、Wは強い残留放射能等の問題があるので、Wを除いた構造ならば約7476cmの遮蔽厚が必要となる。一方、外側ブランケットには増殖材としてLiOや液体Liを使用し、トーラス内側に反射体を設ければ、大きなTBRが期待できる。LiPbは将来的には有力なトリチウム増殖材であるが、十分なTBRの設計が難しい。この場合内側にリチウム鉛(LiPb)の中性子反射体を設け、内側のTBRも回収できれば、トリチウムの自己供給が可能な核融合炉が実現する。
松川 誠; 三浦 友史; 島田 勝弘; 寺門 恒久; 岡野 潤; 礒野 高明; 布谷 嘉彦
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 14(2), p.1414 - 1417, 2004/06
被引用回数:5 パーセンタイル:32.92(Engineering, Electrical & Electronic)大型の超伝導コイルでは、導体に働く電磁力を効率良く支持するため、金属管に超伝導線を収めたCICC導体の採用が一般的である。また、偏流やコンジットの加工性(最小曲げ半径)及び不整磁場などを考慮すると、導体にはその要求性能に合致した最適なサイズと電流が存在する。このため、超伝導コイルは大型化に伴ってターン数及びターン間静電容量が増大する傾向にあり、内部共振周波数の低下が懸念される。そこで、筆者らはITER-CSモデルコイルの運転時における高周波インピーダンスを測定した。その結果、コイル両端のインピーダンスは事前の予想とおおむね合致した周波数特性を示し、400Hz付近で最小インピーダンスとなった。また、全ターン間の相互誘導,静電容量を考慮した回路解析を行い、内部共振現象による電圧上昇及び電圧分担の不平衡について検討した結果を述べる。
松川 誠; JT-60SC設計チーム
IEEE Transactions on Applied Superconductivity, 14(2), p.1399 - 1404, 2004/06
被引用回数:4 パーセンタイル:28.63(Engineering, Electrical & Electronic)将来の核融合炉を魅力的なものとするためには、プラズマの定常高ベータ化研究や、低放射化フェライト鋼とプラズマとの適合性試験などを推進する必要がある。これらの観点に立って、我が国においてはトカマクでの核融合研究をJT-60装置において重点的に実施することが、文部科学省の科学技術・学術審議会で合意されている。平成14年度の装置設計案をベースに、プラズマ形状やダイバータ配位等についてより広い運転パラメータへ拡張できる装置としての柔軟性を確保するため、クライオスタットの形状を改善して、既存NBIタンクとの空間干渉が回避できる範囲でトロイダル磁場コイルのサイズを最大化した。これにより、オープンダイバータ配位においては、アスペクト比2.8を実現した。今回の最適化検討で特筆すべきことは、可能な限り高い電流密度で運転することで、超伝導線材の利用率を向上させることにより、使用する超伝導線材の総量をむしろ減少させたことである。講演では、本装置の超伝導マグネットシステムを中心にして、装置全体の設計最適化についても述べる。
土屋 勝彦; 木津 要; 三浦 友史; 安藤 俊就*; 中嶋 秀夫; 松川 誠; 逆井 章; 石田 真一
Fusion Engineering and Design, 70(2), p.131 - 140, 2004/02
被引用回数:3 パーセンタイル:23.52(Nuclear Science & Technology)JT-60改修装置における主要なコンポーネントの一つであるTFコイルでは、超臨界圧ヘリウムで超伝導(ニオブアルミ)線を強制冷却するため、コンジットと呼ばれる金属内に超伝導素線を納める、ケーブル・イン・コンジット導体を採用している。ここで用いるコンジットは円形中空の矩型であり、突き合わせ溶接して長尺化する。本形状のコンジットは、ステンレス鋼では製作実績がないため、30m長導体を試作(10mコンジット3本使用)する一貫としてR&Dを行った。この時、溶接面において、ケーブル引き込み時の妨げとなるような凸部を作らないようにした結果、コンジット内に送るガス圧を調節することで裏波の制御が可能であることがわかった。また、小型CCDカメラをコンジット内に挿入する視覚的観察法の導入により、コンジット内側における裏波の状態の良否判断に寄与できた。ケーブルの引き込み時においては、引き込み張力は途中から増加せず、滞りなく全長分を引き込むことに成功した。この後、縮径工程を経て実機サイズとし、一部をリアクト・アンド・ワインド法実証用D形サンプルに用いられた。この製作時に行われた750Cの熱処理後でも、溶接面の健全性は保たれていた。これらのことから、本装置TFコイル用導体の量産化に対する見通しができた。
佐藤 聡; 真木 紘一*
Fusion Engineering and Design, 65(4), p.501 - 524, 2003/07
被引用回数:8 パーセンタイル:49.89(Nuclear Science & Technology)トカマク型DT核融合炉の代表的な設計例においてブランケットは、メンテナンスや製作性等の観点から多数のモジュールに分割されている。隣り合うモジュール間には幅数cmのスリットが存在する。スリットからの中性子ストリーミングにより真空容器再溶接部のヘリウム生成量や超伝導コイルの核発熱率や照射損傷等が増加し、基準値以上になる懸念がある。本研究では、スリット幅,ブランケットの厚さ及び組成,真空容器の厚さ及び組成,再溶接部のホウ素濃度をパラメータとした真空容器や超伝導コイルの核的応答に対する3次元モンテカルロ法による感度解析を行い、それらを関数としたスリットストリーミングに対する核的応答の簡易的な近似式を導出した。また導出した近似式を基に、遮蔽設計基準値を満足させるための遮蔽構造のガイドラインを明らかにした。
石田 真一; 阿部 勝憲*; 安藤 晃*; Chujo, T.*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 後藤 誠一*; 花田 和明*; 畑山 明聖*; 日野 友明*; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.606 - 613, 2003/07
原型炉の経済性と環境適合性のさらなる向上を図るため、大学等との連携協力によりJT-60を超伝導トカマクへ改修する計画を推進している。目的は、原型炉と同様に強磁性体である低放射化フェライト鋼をプラズマの近くに設置して、高ベータで自発電流割合が高く、高度なダイバータ熱粒子制御を持ち、ディスラプション頻度の少ない定常運転を実現することである。JT-60の既存設備を最大限活用し、新たに導入する超伝導トロイダル及びポロイダル磁場コイルを用いて、主半径2.8m,プラズマ電流4MA,トロイダル磁場3.8Tの高非円形かつ高三角度配位のシングルヌル・プラズマの100秒運転を行う。原型炉の設計例から設定された高い達成目標の実現を目指し、高ベータプラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱粒子制御、及びフェライト鋼のプラズマ適合性の実証という重要課題に取り組むことができるよう設計を行った。
斎藤 滋; 大内 伸夫; 深谷 清*; 石山 新太郎; 土屋 佳則; 中嶋 秀夫
JAERI-Tech 2003-027, 63 Pages, 2003/03
超伝導加速器や核融合炉等の超伝導コイル及びその周辺には、複数の異材継ぎ手が必要である。核融合炉の場合、超伝導コイルジャケットの候補材の一つに純チタンが挙げられている。純チタンは超伝導コイル焼成時の酸素濃度管理が比較的楽であるほか、熱収縮率,非磁性,耐食性,加工性などの面でも優れているためである。また、コイルの接続部には電気抵抗が小さい銅合金が使われ、支持構造材には極低温用のステンレス鋼が使用される。そのため機器の製作にはこれらの材料の接合技術の開発が不可欠であり、原研では熱間等方加圧(Hot Isostatic Pressing ; HIP)法による接合技術の開発に着手した。HIP法は接合強度や寸法精度に優れ、立体面や大型機器の接合も可能である。本研究ではHIP法による銅合金と純チタン及び極低温用ステンレス鋼(JJ-1)の接合試験を行い、組織観察や引張り,曲げ試験等により最適なHIP条件の選定と接合強度の評価を行った。
斎藤 滋; 大内 伸夫; 石山 新太郎; 土屋 佳則*; 中嶋 秀夫; 深谷 清*
JAERI-Tech 2002-048, 68 Pages, 2002/05
超伝導加速器や核融合炉の超伝導コイルなどの極低温機器には、目的に応じてさまざまな材料が使用されるため、複数の異材継ぎ手が必要とされる。核融合炉の超伝導コイルの場合、純チタンと極低温用ステンレスの継ぎ手が必要であるが、溶接による接合は困難である。従って、新しい接合技術の開発が必要であり、原研では熱間等方加圧(Hot Isostatic Pressing; HIP)法による接合技術の開発に着手した。HIP法は接合強度や寸法精度に優れ、立体面や大型機器の接合も可能である。本研究ではHIP法による純チタンと4種類の極低温用ステンレスの接合試験を行い、組織観察や曲げ・引張り試験等による最適HIP条件の選定を行った。さらに4K及び室温における接合強度と熱サイクル試験による接合の健全性の評価を行った。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 栗田 源一; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 市毛 尚志; 神永 敦嗣; 加藤 崇; et al.
Proceedings of 19th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE), p.221 - 225, 2002/00
コイルの超伝導化を主体とするJT-60改修の工学的設計研究を行った。JT-60改修の目的は、原型炉の経済性・環境適合性向上を目指した高性能プラズマの定常運転技術、及び低放射化材料の利用技術の確立である。JT-60改修では、定常化運転に向けて高プラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱・粒子制御,ディスラプション制御に関する研究課題が設定された。これを実現するために必要な装置,機器の検討を行った。トカマク放電を長時間(100秒)維持するために必要な超伝導トロイダル磁場コイル(TFC)には、高銅比4のNbAlケーブル・イン・コンジット導体を採用することにより高い電流密度の性能が得られ、コンパクトなTFCの設計を可能にした。また、低放射化フェライト鋼製の安定化バッフル板やリップル低減用フェライト鋼の配置及び直接冷却ダイバータ構造体等を検討した。
土屋 佳則; 菊地 賢司; 皆川 宣明; 森井 幸生; 加藤 崇; 中嶋 秀夫; 辻 博史
Journal of the Physical Society of Japan, Vol.70, Supplement A, p.520 - 522, 2001/05
加工により材料に加えられるひずみ、応力の見積もりは製品設計に重要であり、それに対する中性子回折測定が工業的に期待されている。本研究では中性子回折法の工業的応用として、加工履歴を持つ超伝導コイルコンジット材の中性子回折残留応力測定結果をもとに、内部残留ひずみ、応力の中から特定の加工により発生した成分を抽出し評価した。また、有限要素法との比較により、中性子回折法が単に内部残留応力状態の観測だけではなく、加工が材料に及ぼす影響評価のために有効であることが示された。
松川 誠; 石田 真一; 逆井 章; 栗田 源一; 三浦 友史; 寺門 恒久; 大森 栄和; 大森 俊造; 岡野 潤; 島田 勝弘; et al.
Fusion Technology, 39(2-Part2), p.1106 - 1110, 2001/03
JT-60装置において定常化研究をより一層進展させるためには、プラズマ電流駆動時間をいかに長時間化するかが重要である。ところが、現在の電源システムはプラズマ電流駆動時間5秒を基本に設計製作されていることから、長時間化を実現するためには改造する必要がある。本文では、等価矩形波通電時間が約40秒の現トロイダル磁場コイル電源をサイリスタ変換器化して再構成し、新プロイダル磁場コイル電源のベース電圧電源とする改造案を提案する。そして、ほかの交直変換器を短時間のの補助電源として活用すれば、新規製作が必要な変換器がほとんど不要であることを示す。また、運転に必要な交流電源は、プラズマ電流4MAを100秒程度維持し、追加熱を40MW-10秒とするならば加熱用発電機1台で、10MW-100秒とするならばトロイダル用発電器1台で十分な見通しであることを示す。
石田 真一; 松田 慎三郎
プラズマ・核融合学会誌, 76(6), p.601 - 603, 2000/06
JT-60では、プラズマ物理の研究開発の面で引き続きITER計画への貢献を図るため、JT-60のコイルを超伝導化し、高性能プラズマの定常運転制御などを可能とする「JT-60コイル改修計画」を平成13年度から開始できるよう検討している。ITERの運転・実験の効率化及び定常運転原型炉概念の基礎形成を図るため、JT-60の既設備を最大限に活用して、主要な研究課題として高性能プラズマ及び高ベータプラズマの定常運転制御、そしてダイバータ熱・粒子排気の長時間制御に取り組む。この本改修の目的は、第三段階核融合開発基本計画で定められた先進的・補完的研究開発として位置付けられる。本稿は、JT-60の展望として、改修計画の概要並びにこれまでの検討の進捗等について述べたものである。
松川 誠; 逆井 章; 石田 真一; 三浦 友史; 細金 延幸
平成12年電気学会産業応用部門大会講演論文集 (CD-ROM), 1, p.287 - 290, 2000/00
トカマク装置における定常化研究をより一層進展させるために、臨界プラズマ試験装置JT-60の超伝導化を検討した。装置本体のサイズは、既存のプラズマ加熱装置が再利用可能となる規模とし、主半径2.8m、小半径0.85m、非円形度1.8で、プラズマ電流4MAの下シングルヌルダイバータ配位のプラズマを生成できるよう計画している。コイルを超伝導化した場合には、すべての直流電源に新たにクエンチ保護回路が必要になるが、トロイダル磁場コイル電源は急激な励磁が不要となるため、電源容量は大幅に合理化できる。一方ポロイダル磁場コイル電源は、長パルスあるいは連続運転が可能となるように、現在のシステムを大幅に改造する必要がある。本文は、JT-60装置の超伝導化にともなう電源システムの改造設計について、現有設備の活用法を中心にその検討状況をまとめたものである。
土屋 佳則; 菊地 賢司; 皆川 宣明; 森井 幸生; 加藤 崇; 中嶋 秀夫; Refal, M.*; 斎藤 徹*; 辻 博史
Proceedings of 6th International Conference on Residual Stressess (ICRS-6), Vol.1, p.337 - 341, 2000/00
核融合炉で必要となる巨大超伝導コイルの、加工による大型導体ジャケット内部残留応力の分布状態は、超伝導生成熱処理の際に問題になる。本講演ではコイル巻き線加工を模擬したジャケット材の内部残留応力を中性子回折法により非破壊で測定し、加工による残留応力の再分配状況を観測した結果について報告する。同時に、同形状のモデルによる計算機シミュレーションを行い、加工の各段階を追って残留応力の変化を予測した結果を示す。中性子回折による実測と計算結果の整合性を各加工段階で検証することで、複雑な形状と加工履歴をもつ材料の残留応力を事前に高い信頼性をもって予測できる可能性について議論する。
三浦 友史; 松川 誠; 中野 博民*
Proceedings of the 18th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE '99), p.417 - 420, 1999/10
力率1運転が実現可能で、交流入力電流の高調波が低減できるPWMコンバータは、次世代核融合装置の超伝導コイル用電源として有力であると考えられている。しかし、従来のPWMパターン発生法では、スイッチング素子の最小導通期間を保持しなければならないという制約から、直流出力電圧をゼロ付近の低電圧に制御することが非常に困難であった。そのため、交流入力電流波形は歪み、直流電流は振動する可能性があった。本講演では、直流出力電流の環流期間を1サンプル周期内に適切に配分することによって、素子の最小導通期間の制約にかかわらず、ゼロ電圧を出力することができる新しいPWMパターン発生法を提案する。本方法の有効性をEMTDCを用いた回路シミュレーションを行って評価、検討したので、その結果について報告する。
三浦 友史; 松川 誠; 中野 博民*
電気学会論文誌,D, 119-D(7), p.1022 - 1023, 1999/07
超伝導コイル用PWM(パルス幅変調方式)電流形コンバータでは、コイル電流を一定に維持する場合には直流出力電圧を零にする必要がある。この場合、原理的には環流モードにすることで直流出力電圧を零にできるが、従来のPWMパターン発生法では、狭幅パルスが交流側に現れるため実現できなかった。このため、狭幅パルスを発生しない方法が提案されているが、(1)スイッチング回数が最小化されていない、(2)アルゴリズムが比較的複雑で計算機制御に不向きである、などの欠点があった。本報告では、狭幅パルスを発生せず、かつスイッチング回数を最小化する方法を提案する。さらに本方法によれば、素子ごとに最小スイッチング時間を設定するのではなく、コンバータ全体のオンオフモードの最小維持時間を設定するため、計算機制御に適した単純なアルゴリズムで、かつスイッチング素子の能力を最大限まで利用可能とする。
松川 誠; 三浦 友史; 木村 豊秋; 渡辺 憲治*; 久保田 敏春*; 川島 秀一*
Fusion Technology, 34(3), p.684 - 688, 1998/11
本論文は、超伝導コイルのクエンチ保護回路などに使用する水冷式真空遮断機の開発に関するものである。開発の目標として性能は、連続通電容量25kA、遮断電流50kAである。熱的に最も厳しいのは電極の接触面であるが、最高温度を150C以下にする必要があるため、次のような構造上の工夫を行った。(1)アーク安定化のための縦磁界発生用コイルを固定電極側のみの真空領域外に設けた。(2)可動電極側については先端部近傍まで水冷としたが、ロー付け部は真空領域外に設けた。有限要素法による熱解析の結果では、電極を含む導体部の最高温度は110C程度と計算されたが、電極間の熱伝達、温度上昇による変化などを確認する必要があるため、モデル器を製作して設計の妥当性を検証した。その結果、20kA程度の連続通電が可能となることがわかった。論文では、設計の概要とモデル試験の結果について述べる。
武井 早憲; 谷本 育律*; 大沢 哲*; 細山 謙二*; 江本 隆; 榎本 収志*; 紙谷 拓哉*
PNC TN9410 98-053, 43 Pages, 1998/04
事業団では、大電流電子線形加速器の利用技術の一環として、単色ガンマ線源、自由電子レーザー、大強度陽電子源などを検討している。本報告書は、大強度陽電子線源を開発するために、陽電子ビームを効率良く収束する装置への超伝導コイルの適応性を評価した。超伝導コイルを用いた場合の陽電子強度を常伝導コイルの場合と比較したところ、強度が2倍以上になることがわかった。さらに、ソレノイドコイルとして超伝導コイルの特性を調べるため、小型コイルを製作し、定格電流まで励磁する試験を実施した。中心軸上の最大磁場強度を測定した結果、設計値である5.6Tを達成した。従って、陽電子ビームを収束する装置に超伝導コイルを用いた場合、収束コイルとして機能することを確認した。